私の眼日記 ⑮ (私の白内障手術体験記~その3)
- 2019.12.30
- メガネの金剛
この記事を書いている現在、早いもので一年があっという間にすぎ、年末になろうとしています。
日に日に寒さが感じられますが、皆様お風邪など引かれてはいませんでしょうか?
インフルエンザには十分お気をつけくださいね。
さて、前回の続きになり実際の術中の話に戻ります。
10~15分前後経過したと思われます。
後嚢部分を残してやっと濁っていた水晶体の前眼部が綺麗になったのでしょうか!?
次は、眼内レンズを挿入する作業と思われます。
眼内レンズは、通常レンズ径約6mm~7mmのレンズが採用されているようです。
傷口が3mm程度の小さな傷口での手術の場合は折りたたんで挿入する事の出来る柔らかい素材(シリコンやアクリルなどのもの)を用います。
これらは人体に影響の少ない素材が選ばれていますが、体質によってはどうしても眼内レンズが適合しない方もいらっしゃいます。
その場合は挿入した眼内レンズを抜き去る手術が必要となる場合もあります。
後から自分自身の社内勉強会で「眼病」について講義する為に勉強して知った事なのですが、眼内レンズを挿入する器具があって、レンズそのものは最初折りたたまれていて、眼内に入ると定位置でそれが広がって固定される仕組みだそうです。
実はこの時も先生のこだわりがあるようなお言葉が聞き取れました。
細かな説明は次の左眼の記事に引き継ぐこととしまして、何とか挿入作業も無事終わり
手術も終了に近づいているのか、内線電話で先生が次の待機されている患者さんを手術室に案内する様、呼び出しを掛けています。
この時点で、やっと緊張がほぐれてきました。
後は目の周りを綺麗に洗って下さっているのか、消毒をして下さっているのか、何やら何回か液体を掛けて下さっています。
手術は色々な事を考えているとあっという間でした。
しばらくしているうちに、腕に巻かれていたと思われる自動血圧計や心電図を取る器械も外されて、後は術後眼の処置に入ります。
今回の手術眼(右眼)のみをくり抜いて掛けられていた眼の周りの手術用シート。
それを固定していたテープを思いっきり顔から剥がされて、痛みよりもビックリの方が気持ちの中では先行していました。
先生も一日に沢山の患者さんの手術をされますので、そんなに優しく丁寧にはがしてくれません。
まるでダンボールのガムテープを剥がす様に「ベリベリ」っと音が鳴るような勢いです。
「おいおい、今、メスを入れた眼にそんな乱暴に。。。」って思いましたが、その時は文句を言うよりも、無事手術を終えて下さった先生への感謝の気持ちが強かったです。
そのあと、術後眼にガーゼを当てられ、眼の周囲を保護するプラスチック製の透明で固く穴の開いた俗にいう「カッペ」(アイカバー)と呼ばれる眼帯を付けられて、手術台から車椅子に移されました。
昔の網膜剥離の手術に比べますと、本当に時間も短く、あっけなく終わったなという感じでした。
この時は、そんな安易な気持ちでホッとした脱力感だけを感じていました。
明後日の左眼の手術の時にこれほどスムーズにはいかない事は、まだこの時点では知る由も有りませんでした。
先生から
「右眼の手術はこれで終わったから今日はこの後、病室で1時間位抗菌薬の点滴で安静に寝ていてね!一日空けて、明後日に今度は左眼だね!」
と言われ、手術室から出ると次の手術待ちの患者さんとすれ違いました。
誰しもそうだと思いますが、やはり順番を待つ時間が一番嫌なものですね。
きっと、私もその患者さんの様な不安でおどおどした姿だったんだろうと思います。
看護士さんに車椅子を押されながら、手術室の階から眼科病棟の階にエレベーターを経由して自分の病室に戻ってきました。
家族に迎えられながらベットに横たわって1時間の安静と点滴をされているうち、緊張から解き放たれ、うとうととして軽く眠っていました。
その日の手術予定の患者さんの手術が全て終わったと思われる頃、執刀医の先生が様子を伺いに病室まで回診に来て下さいました。
丁度、夕食の配膳の前ぐらいだったと思われます。
手術後の様子と御礼を申し上げ、食欲も出てきたのでその日の夕食は美味しく頂きました。
明日の午前中の術後検診が終わるまで夜中に無意識に目をこすったりしないように、眼にはまだ固いプラスチック製の眼帯を付けられたまま。
術後の見え方の確認はまだできていませんでしたが、身体は元気なので時間を持てあましていました。
夕食後は病室を出て消灯の午後9時頃まで、面会室で病院から見る夜景(と言っても山の中の小高い丘の上にある病院ですので、民家の点々とした灯りぐらいしか見えませんが・・・)を見たり、新聞や雑誌を見たりもしました。
病室で個別にTVを見るにはTVのプリペイドカードを購入しなければならなかったので、この面会室で観たりしていました。
病院の消灯時間は、普段自宅で過ごすよりも早く非常に長く感じました。
夜はイヤホンを付けて同じ病室の患者さんに御迷惑がかからぬ様、持参した小型ラジオを聞いたりもしました。
入院中も会社の事は気にかかっていましたので、社内掲示板等も確認はしていました。
次の日は、いよいよ今回の入院で初の術後検診です。
先に手術のした右眼の眼帯を外す日でもあるので見え方がどんなふうになっているのか…、
昔のドラマ1シーンの様な心境です。
この病院では入院中の入院患者の術後検診は一般外来患者の診察室とは異なり、パジャマ姿のままでも診察が受けられるように配慮されて眼科病棟と同じ階にある、端の方の一室でした。
同時期に手術を受けた患者さん達に混じって部屋の前に行き、一人ずつ診察室に通されて先生の診察を受けます。
診察室で眼帯を外され、細隙灯などと呼ばれる検査機器で術後眼を観察されます。
幸い大きな問題もなく術後経過は良好で、右眼を覆っていたガーゼとプラスチック製の眼帯を外して頂けました。
眼内レンズのおかげで、私の右眼は小学生時代からの強度近視性乱視から解放され、裸眼でもそこそこ見える弱度の近視性乱視になっていました。
(乱視には角膜乱視もある為、水晶体を入れ替えただけでは乱視を完全になくすことは難しいようです)
それでもこれまでの分厚い眼鏡レンズから解放される喜びの方が大きく、手術直後の右眼は通常の生活なら眼鏡が不要なほどで感激だったことを覚えています。
診察室は暗室でしたので、見え方が今一つピンと来ませんでしたが、診察室を出て明るい病院内を歩いている内にそのハッキリとした見え方に更に感動を覚えました。
そして、右眼の見る景色が手術前に比べて色彩が違う事に驚きました。
あとで両眼の手術後の最後の診察時に私が質問した疑問に先生がお答えくださいました。
「先生、手術後の眼の見え方がはっきりと明るくて大変嬉しいんですけれど、やけに景色が青々とした感じなんですが・・・?眼内に入ったレンズにカラーが付いていたんですか?」
とお尋ねしてみますと
「それはね、それが若い方の普通の見え方なんだよ。長い年月と加齢によって白内障の症状が進行すると人間は徐々に黄ばんだ見え方になっていくんだけど、少しづつだから日頃は気が付かないんだよ。眼内レンズは無色のものを入れたよ!!」
・・・と。
そうなんだ、普通の景色の色彩はこんなに明るく青っぽく見えているんだ、とびっくりでした。
さて、明日はいよいよもう片方の左眼の手術です。
左眼は過去の記事に書かせて頂きましたように、あの苦しかった「網膜剥離」を患った眼です。
個人的な願いとすればもう触って欲しくなかったのが本音ですが、右眼と同じくかなり矯正しても視力が低下していましたので、仕方がありません。
白内障手術に先立ち、不安になったので網膜剥離の手術をしている事を今回の術前検診で先生にお伝えして
「手術に支障はないんでしょうか!?」
と質問したところ、
「網膜剥離は眼底部の手術で今回の白内障手術は前眼部だから問題はないよ。但し、手術で眼の中を触ることになるので、眼の中の内容物の位置関係や内圧の変化などの影響が出るかもわからない。万が一剥離が起こった場合の事も考え、次に剥離の処置の為に執刀して下さる先生が手術しやすいように眼内が見やすい大きな直径の眼内レンズにしておくね。君はまだ若くて、散瞳も大きいから・・・」
と、教えて下さいました。
「う~ん、待てよ。よ~く考えたら、これって後遺症で網膜剥離を起こす可能性もあるってことやない??」
と思ったりもしましたが、考えても先生にお任せするしか仕方ありません。
さて、左眼の手術に関しては次回の記事にてお話させて頂きますね!
今回も最後までお読み下さり有難うございました。では、次回まで~(@^^)/~~~
私の眼日記 白内障編の記事はこちら
白内障編 7 (今回の記事)