私の眼日記⑫ 白内障の基礎知識
- 2019.09.26
- メガネの金剛
読者の皆様、お元気にお過ごしでしょうか!?
涼しくなったと思ったらまた暑くなったりと、少し不思議な気候になっています。
体調を崩されませんよう、十分にご注意下さいね。
前回の記事は、私の白内障手術についての治療計画に基づいた流れをざっと書き綴ってみました。
前回記事で予告していた自分自身の体験記に入る前の予備知識として
今回は、「そもそも白内障とは何ぞや・・・!?」という記事を書いてみたいと思います。
白内障の下書きをしていましたら体験記事はあまりにも文字数が多くなるので、急遽予定を変更致しました。
ですので読者の皆様には大変申し訳ないのですが、
その次の記事でその時の気持ちや体験を自分が思ったとおり赤裸々に綴ってみたいと思います。
読者の皆さんの中で既に眼科医から「白内障」という診断を受けた方や、
そうでない方でも予備知識として、
「白内障」という眼病について少しおさらいをしておきます。
昔から一般的には「しろそこひ」と呼ばれる「白内障」という病気は、
目の中の前眼部のレンズに当たる「水晶体」という組織が濁ってくる病気です。
この「水晶体」という部分、正常な状態では透明な器官で、
直径約9mm、前後径約4mmの凸レンズの形をしています。
主な役割は屈折(外界からの光を屈折させて、硝子体などの透光体を経て網膜に像を結ぶ)、調節(ピントを合わせる)、紫外線の吸収、眼球の前部と後部を分ける隔壁等の性質を担っています。
水晶体は約66%が水分で約33%がタンパク質と、僅かな塩類(ミネラル)で構成されています。
水晶体タンパク質は加齢に伴い弾力がなくなり、不溶性タンパク質に変化してしまいます。
そうなると不透明性が増して、そのうち混濁し「白内障」となります。
この結果起こるのが視力障害です。
色んな「白内障」があるのですが、一番の要因は加齢です。
40歳代で約40%、50歳代で約65%、60歳代で約75%、70歳代では約85%、
80歳代以上では、ほぼ100%で水晶体に何らかの混濁が見られると言われています。
しかし、これら全てに視力障害が出るわけではありません。
白内障の根本的な原因からの分類(先天性・老人性・糖尿病性・皮膚疾患合併性・ステロイド性・併発性・外傷性・放射能性など)の他に、混濁のできる部位によっても更に細かく分類があります
混濁の発生した部位により、視力には差が出ることが多いです。
水晶体の混濁には、水晶体の組織の中で周りからの「皮質白内障」、後ろの部分からの「後嚢下白内障」、中央部からの「核白内障」などといった水晶体の混濁部位によっても少し呼び名が異なります。
これらの水晶体の混濁により、視力低下や羞明を感じ、
混濁が瞳孔まで及ぶと霧視や複視等の症状が起きます。
加齢・酸化反応・紫外線・喫煙・アルコール・身体条件(BMI・・・肥満指数)・遺伝等
様々な要因が複雑に絡み、水晶体蛋白質が変性を起こし、「白内障」を発症します。
白内障のごく初期は点眼薬で進行を遅らせることができる場合もありますが、
現在の医学では治癒させる事は出来ません。
進行した白内障に対しては、手術が必要になります。
手術は通常、濁った水晶体を取り除き、水晶体の替わりに眼内レンズ(アクリルやシリコン製)を挿入する方法が一般的に行われます。
水晶体の摘出法としては、超音波乳化吸引術(PEA)・・・私もこの術式です。
嚢外摘出術(ECCE)、嚢内摘出術(ICCE)、経毛様体扁平部水晶体切除術(PPL)などがあります。
水晶体の核硬度、水晶体を支えるチン小帯(チン氏帯)の状態などから術式を選択しますが、一般的にはPEAが行われます。
眼内レンズの種類には、着色・無着色・球面・非球面・単焦点・多焦点など多岐にわたっています。
患者の症状、生活背景などに応じて使い分ける必要があります。
また、手術前には眼内レンズを入れると予定していても手術時の眼内の様子(チン小帯や水晶体嚢の弱り)で眼内レンズの挿入に耐えられそうにないと判断された場合、執刀医のその時の判断により、眼内レンズを入れずに手術を終了することがあります。
その場合は、眼鏡・コンタクトレンズ等で矯正したり、後日あらためて眼内レンズを縫い付ける術式に変更して再手術を行う場合があります。
あと、特殊な例として左右の眼の眼内レンズ度数にわざと差をつけて、
片眼で「遠く」もう片方の眼で「近く」を見えるように眼内レンズを挿入する
「モノビジョン」という方法が採用される場合もあります。
手術は年々進歩しており、ほぼ安全な手術となったばかりでなく、
以前よりもより早期の視力回復、社会復帰が可能となりました。
ただ、この白内障手術自体は無事に終了したとしても、もともと緑内障などを併発されていたり、私の様に後日、網膜の疾患等(私の場合は、約半年後に右眼の網膜剥離を発症)で眼底や視神経に別の病気が隠れていますと、手術が上手くいっても期待したほど視力が思うように出ない事があります。
通常、手術をすれば水晶体そのものを摘出するので原発の白内障は再発することはありませんが、
眼内レンズを安定して支えるために後ろ側の薄い膜(後嚢)を残す場合が多く、
時にはその膜が濁り視力が低下する事があります。
これは「後発白内障」とされ、レーザー治療により外来で治療できるようになりました。
術後一定期間は、数種類の目薬を継続させる必要があり、
手術を受けてしばらくは眼をこすったり、力まないように注意して下さい。
また、一部の多焦点レンズのような眼内レンズを挿入した場合を除いては、
何らかの眼鏡が必要となることも心に留めておいてくださいね!!
また、私が今後の記事でも書かせて頂くつもりではありますが、
手術による眼内組織の位置等の変化により、他の眼病(緑内障・網膜剥離・網膜黄斑浮腫等)が
後発に起こる場合があります。
異常を感じましたら放置せず、すぐに眼科医の診察を受けて頂きますようにお願い申し上げます。
以上これまでが、「白内障」という眼病の原因や症状、手術法などの予備知識です。
簡単ですが少しご理解頂けましたでしょうか!?
次回は、私の実際の白内障手術体験記となります。お楽しみに・・・(^^)/~~~
私の眼日記 白内障編の記事はこちら
白内障編 4 (今回の記事)