“聞こえ”を表すオージオグラム

“聞こえ”を表すオージオグラム

こんにちは、メガネの金剛補聴器担当大橋です。

前回は聞こえの仕組みということで耳の構造を書いてみましたが、

今回は聞こえの程度を表すオージオグラムについて書いていこうと思います。

 

オージオグラムの見方と測定方法

オージオグラム、聞こえの程度を表す聴力図のことです。

ひとまず図の見方を説明させてもらいます。

横軸が周波数(Hz)、縦軸が聴力レベル(dB)を表しています。

 

周波数とは音の高さを表すもので

数字が低いほど低音、数字が高いほど高音を表しています。

縦軸は音の強さを表していて、数字が大きくなるとより大きな音を表しています。

 

赤いが右耳の気導聴力、青い×が左耳の気導聴力、

赤い が右耳の骨導聴力、青いが左耳の骨導聴力の値となっています。

この図がわかればご自身の耳がどのような状態なのか理解することが出来ます。

こちらの図の数値を取る為には気導聴力測定骨導聴力測定を行います。

 

気導聴力測定は気導受話器というヘッドホンを装着し行います。

健康診断などでも簡易的に行っているので経験した事があるのではないでしょうか。

しっかりした数値を出す為には専用の防音室という外部の音と遮断したスペースにて行います。

気導聴力測定は私たちが普段音を聞いているのと同じ要領で測定します。

ヘッドホンから出た音が外耳道を通り鼓膜に達します。

あとは前回お伝えしたように中耳、内耳を経て音として認識します。

これを気導聴力と呼びます。

 

骨導聴力測定は骨導端子を耳の後ろ側の側頭骨乳突部に当てて測定します。

骨を振動させて内耳に直接音を伝える測定方法です。

これを骨導聴力と呼びます。

これらの聴力測定をすることで聴覚閾値を知ることが出来ます。

 

聴力レベルとは?

まず、さきほどの聴力レベルとは?ですが、

「健聴者の平均的な聴覚閾値を0dBHLとする」と定められています。

何を言っているのかさっぱりわかりませんね。

 

オージオグラムは音の周波数ごとの聴覚閾値を表す為の図になっています。

聴覚閾値とはその音が聞こえるか聞こえないかの境目を表しています。

聴力測定の方法としては気導測定、骨導測定ともに

測定音が僅かにでも聞こえたら反応をしてもらうものになっています。

これにより各周波数ごとの聴覚閾値、聞こえるか聞こえないかの境目、

つまり音の聞こえ始めを測ることが出来ます。

 

聞こえづらくなってきている場合は、

どれだけ音を大きくしたら聞こえるか、と言い換えることも出来ると思います。

「健聴者の平均的な聴覚閾値を0dBHLとする」ですが、

そもそもオージオグラムの0dBが

20歳の健聴者の平均的な聴覚閾値になるように作られています。

あくまで一般的な規定の話ですが20歳の人が聴力測定をすると

125Hzから8000Hzまで0dBで聞こえ始めるということです。

 

もちろん個々の聞こえの能力は違いますし、耳の状態で変化もします。

一般的に加齢による難聴の場合、高音域の方から聞こえが悪くなっていきます。

聴力測定をしたら0dBではなく図の下のほうに○や×の印がついてしまうわけです。

音をそれだけ大きくしないと聞こえないということなので

小さな音はまったく感じ取ることが出来なくなってしまうわけです。

 

音声は抑揚もあり、音の強さも上下します。

閾値上の音量では聞こえるか聞こえないかの境目なので

満足に聞くことは出来ません。

少なくとも閾値から+30dB程度の聞こえの幅がないと

うまく聞こえないと言われています。

我々補聴器販売店が聴力測定するのは補聴器をフィッティングする為に行います。

これだけではありませんが聴覚閾値がわからないと補聴器を調整することが出来ません。

 

聴力レベルから見る難聴の種類

聴力レベルがわかれば次はその数字が持つ意味です。

気導聴力測定の結果から平均聴力レベルというのを算出します。

主に4分法と呼ばれる方法で計算します。

(500Hz+(1000Hz×2)+2000Hz)÷4 で計算出来ます。

最初に貼り付けた例でいくと右耳の場合は

500Hz=45dB

1000Hz=60dB

2000Hz=65dB

(45+60+60+65)÷4=57.5dB

これが右耳の平均聴力レベルとなります。

 

難聴を分類すると

・軽度難聴

・中等度難聴

・高度難聴

・重度難聴

の4つがあります。

 

それぞれ平均聴力レベル別に目安があり、

・軽度難聴 (25~39dB)

・中等度難聴(40~69dB)

・高度難聴 (70~89dB)

・重度難聴 (90dB以上)

となっています。

 

今回の例だと右耳は中等度難聴に該当することがわかります。

24dB以下の場合だと分類としては正常ということになっています。

 

それぞれの難聴の聞こえの程度の目安ですが、

軽度難聴の場合、小さな声が聞き取れなかったり、聞き間違いが起きたりします。

正面や対面して会話する場合は聞こえにくさを感じることはあまりないかもしれません。

離れた場所から呼ばれたり、騒がしい環境で話をする、複数の方と会話する場合は

聞こえにくさを感じるかもしれません。

 

中等度難聴の場合、普通の大きさの声の会話が聞き取れなかったり、聞き間違えたりします。

対面会話でも聞きにくくなり、聞き返しが増えます。

離れたところから呼ばれたり、離れたところの音はより一層聞こえにくくなります。

 

高度難聴の場合、大きな声の会話でも聞きとりにくくなります。

対面会話ですら非常に困難になりますので、離れたところの音はわかりませんし、

騒がしいところ、複数での会話も難しくなります。

 

重度難聴の場合、かなり大きな声でも聞きとりにくくなります。

耳元で大声で怒鳴ってもようやく聞こえるかどうかになります。

このレベルまでなると日常生活は非常に困ります。

何も聞こえないわけではないですが、ほとんど聞こえませんので

会話も難しくなり、危険を察知する為の音も聞こえない状態です。

 

 

 

このようにオージオグラムの数値がわかるようになると

どれくらい聞こえにくくなっているのかが理解出来るようになります。

その他、聞こえには明瞭度というものもあり

一概に聴覚閾値だけでは判断できないところもあります。

補聴器販売店では難聴の度合いは診断出来ませんので

気になる場合は耳鼻科の先生の判断を仰いでください。